2011年4月13日水曜日

わずか3カ月~Cathleen Black NYC教育長、辞任

By M. Barbaro, S. Otterman & J.C. Hernandez, New York Times (Apr. 7, 2011)

教育社会学担当:生駒


4/16Teachers Collegeで行われるAcademic Festival, 2011のゲストスピーカーの名前が早速Cathleen P. BlackからDennis M. Walcottに差し替えられているこの現実…。


出版業界の重役からNYCの教育長へと、異例の転身を遂げたCathleen P. Blackであったが、“かねてから問題が取りざたされていた今回の指名がうまく機能することはない”というMichael R. Bloomberg市長による彼女への発言を受け、在任期間95日目にあたる4/7(木)にその職を辞任した。


後任となるのはDennis M. Walcott。好印象の彼は、教育分野での経験が全くなかったBlackとは異なり、教育問題で長いこと市長を支えてきたベテランである。彼はNYCの公立校に通っていたし、幼稚園で教えていた経験もある。


それにしても、Blackを教育長職から外すということは、公の批判を受けても、たいていは誇りを持って部下の擁護に徹するBloomberg市長にしては異例の決断といえるだろう。しかし、昨年12月の猛吹雪に都市を麻痺させてしまったことで人気が低下しているBloomberg市長にとって、Cathie Blackを教育長に指名したことによるダメージは無視できないものになってきているのも確かなようだ。


66歳になるCathie Blackは、Bloomberg市長が木曜日の朝9時に彼女を呼び出し、告げた言葉に未だ驚きを隠せない―これは、どうやってもうまくいかないよ―。彼女は、Hearst Magazinesの元社長、「超」のつく自信家でもあり、億万長者の肩書をひっさげて、アッパーイーストサイドに引っ越してきた。自分を非難する人々さえもいずれは味方に取り込めると固く信じており、4/16には、Columbia 大学のTeachers Collegeで公に対して、もう一度自らを売り込むつもりでいたのに、この突然の通告である。


確かにCathie Blackのマネージメントにおける洞察力を買っていたBloomberg市長であるが、教育省の職員によると、彼女は最近その存在が薄れてしまっているという。会議では口をふさいでしまうことが多いし、決定を引き延ばしにすることもあるようだ。Joel I. Kleinの元、たたみかけるような改革にある種慣れてしまっている職員たちにしてみれば、リーダー不在+現状維持に不満を漏らす声も多くなってきていたという。


一方、Cathie Blackは、市の予算を組むそのプロセスの複雑さに辟易としながらも、長い時間を費やしてその仕事と市の政策についてマスターしようと努力していた。しかし、1週間ほど前に、ついにBloomberg市長が、決断をすべく、教育省の主要職員に彼女の仕事ぶりを尋ねたところ、概ね見解は不適格ということで一致。Cathie Blackは結局、最後の最後に自分の進退を知らされることになったわけである。

Cathie Blackはこの申し出を受理した。辞任状にサインをし、後継者となるであろう人に対し、“幸運を祈っています”という言葉を残して。


記事原文

4 件のコメント:

  1. 次の選挙には出ないだろうと見られているBloombergは、きっと良いレガシーを残して去りたかったのだろうなぁ。Blackが彼の人気を落としていたのは間違いない。Walcottに期待したいところだけど、mayoral controlによって君臨するBloombergの下ではどうにもならないかもね。

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  2. ちなみに、Blackに辞任を迫ったとき、Bloombergはこう言ったそうです。

    "We have to put the focus back on the kids"
    "ほら、子供のことに重きを置かないと"

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  3. 教育未経験のセレブを教育長に任命して子供からフォーカスを奪ったのは自分なのにね。しかも子供のことはそっちのけでマネージメント力だけを求めて。残念だけど教育を分かっている政治家ってなかなかいない気がする…。

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  4. ただでさえ、教育において、生徒や教師のアカウンタビリティをどうやって数値化するか、そもそも測定可能なのかという点において、重要な議論がかわされている真っ最中にあって、そのトップが3カ月で見切りをつけられるのは、皮肉だなと思います。

    そもそも指名が正しかったかどうかはさておき、これが、"結果を「すぐ」出せない人は切られる"という現場の焦燥を助長させるような気がして心配です。

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