2011年3月10日木曜日

教室に忍び寄る予算逼迫の影

By Sam Dillon, the New York Times (Mar. 6, 2011)  教育社会学担当:生駒

予算削減や教師解雇によって、アメリカの公立高校では1クラスあたりの生徒数が増えてきている。例えば、カリフォルニア州、ジョージア州、ネバダ州、オハイオ州、ユタ州、そしてウィスコンシン州で、過去20年以上にわたり、少人数クラスの規制が緩和されてきているし、アイダホ州やテキサス州は、現在1クラス当たりの生徒数を増やすか否かの議論の真っただ中にある。

例えば、カリフォルニア州ロサンゼルスでは、中学3年(第9学年)の英語と数学のクラスサイズが、1クラスあたり20人から34人に増加。高校2年と3年の英語と数学のクラスサイズは平均して1クラスあたり43人と増加の一途をたどっている。

米連邦政府教育長官Arne Duncan は、“優秀な”教師がクラスにさらに生徒を迎え入れた場合にボーナスを支給する、ということも視野に入れているようだ。彼は、自分の子供を23人の生徒を受け持つ “二流の” 教師に預けるなら、28人の生徒を受け持つ “一流の” 教師に預けたいと主張。

一方、Bill Gatesも、1クラスの人数を減らすのは、最もコストがかかる上に最も実りの少ない対策である、と州知事らにメッセージを送っている。

確かに、2~3年ごとにThe federal Department of Education (連邦教育省)によって集計されるクラスサイズに関するデータによると、ここ半世紀での平均のクラスサイズは着実に減少している。しかし、経済状況の悪化により、その規制がだんだんと緩和されてきているのもまた事実だ。

例えば、2002年に小学校の1クラス当たりの生徒数を18人、高校では25人と上限を定める州法改正が承認されたフロリダ州は、現在この制限に悩まされている。

“小学校で、19人目の生徒を迎えたら、即、教師を新たに雇ってクラスを分割しなければならなくなるなんて何の意味もなさないでしょう。” と言うのはthe Florida School Boards Association (フロリダ州教育委員会連合) の長であるWayne Blanton。

去年の11月に行われた、このクラスサイズ制限を撤廃するよう求めた投票は、多数派を勝ち取ったものの、憲法改正に必要な60%には達しなかった。

そして、フロリダ州の学区では、クラスサイズの上限を超えてしまった際に支払う罰金が、去年の終わりまでで、すでに$41 million(約34億円)にも上っている。特にPalm Beach County(パームビーチ郡)は単独で$16.6 million (約13億7000万円)の罰金を抱えてしまっている。

今年、フロリダ州の学区はこれを不服として抗議。州は多くの罰金を減額する措置を行っている。法律を違反しない範囲で、学校システムにもう少し柔軟性を与える方法はないものか―フロリダ州議員はその道を模索している。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。WIのホームスクールMomです。
    オバマ大統領の「アメリカを前進させよう」のスローガンと、まったく逆になってきていますね。
    私たちはホームスクールをしていますが、学校を全否定しているわけではないんです。アメリカは日本に比べると教育の選択肢が多いですが、経済的な理由などで、公立しか道がないという家庭もありますから、全ての子供が良い教育を受けられることを願っています。Madison,WIでは、プロテスト続いています。Peace!

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  2. Sumikoさん

    こんにちは。

    いろんなスタンス、そしていろんな視点から教育について考えていくことが大切だと思います。

    気持ちはWIのみなさんと共にあります。
    頑張ってください!

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