*ここに書かれている意見は、完全に筆者個人のものであり、このブログやティーチャーズカレッジを代表するものではありません。
ニューオーリンズがハリケーン・カトリーナによって水没してから約半年後の2006年2月、メディアや民衆、上院・下院など、国のあらゆる側面から圧力を受けたブッシュ政権は、The White House Katrina Reportを公表し、その未曾有の被害は国の対応のまずさから起きたものであったことを認めた。
しかし、カトリーナ後、一週間経ってもまだ被災者が崩壊した家の屋根から救助を求め、避難所となったスーパードームの外では死体がそのまま放置されているテレビの映像には、「対応のまずさ」だけでは理解できないものがあり、世界中を驚かせた。CNNのレポーター、Sanjay Guptaは「これがアメリカなの?」と問い、ボストンの有力紙、Boston GlobeのDerrick Z. Jacksonも、
“Here’s the wealthiest nation in the world—gave a Third World response to a major catastrophe”
「世界で最も裕福な国が大災害に対して第三世界並みの対応をした」と酷評した。
「世界で最も裕福な国が大災害に対して第三世界並みの対応をした」と酷評した。
では実際にどのような状態であったのか、アカデミー受賞監督、スパイク・リーの2006年作のWhen the Levees Brokeというドキュメンタリーフィルムが見事に映像として残しているので是非機会がある人は観て欲しいと思う。
そうでない人は以下の抜粋で我慢して欲しい。ちなみにこのフィルムは、George Polkテレビドキュメンタリー賞を始めとした、ジャーナリズムで最も権威のある賞の多くを受賞している。
では、何がそのような「対応のまずさ」に繋がったのか。前回紹介したナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』は、ブッシュ政権の最大の狙いは人的救助にはなく、この社会危機をビジネスチャンスとして利用することにあったことを指摘する。
(続く…)
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