By Gewertz, C. Education Week, (Feb 2 2011) 教育評価担当:美馬
ハーバード大学の研究者陣が2日に発表した論文によると、現在のアメリカの学校では、4年生大学への入学を目指して机にかじりついて勉強することを推進するあまり、多くの学生が必要な職業訓練を受けられていない状態だという。
ハーバード大学教育大学院の“Pathways to Prosperity”プロジェクトの推進者たちは、早くも中学生の時点で、子どもたちの将来のキャリアプランに沿って専攻科目や訓練の内容を決めることに賛成している。これは名立たるハーバード大学の提案とあって、即刻議論の的だ。中には、成績の良くない生徒は将来の可能性を狭められるようなプログラムに追いやられてしまうだろうという懸念がある。
論文では、「高校の卒業生は誰もが、キャリアと意味のある高等教育の学位もしくは資格の両方を追求できるようであるべきだ」と主張されている。「多くの場合、大学にいくための準備と将来のキャリアへの準備が互いに相いれないものととらえられている」そうだ。また研究者たちは、1980年代後半からくり返し叫ばれている、大学進学意向のない若者の就職難にも触れている。多くの職が何らかの中等教育以上の訓練を受けていることを求めているというデータがあり、これはオバマ大統領にも影響を与えた。大統領は、全てのアメリカの若者は少なくとも1年間の職業訓練か高等教育を受けるべきだと考えている。
論文によると、現状6割のアメリカ人が20代半ばにおいて準学士号も学士号も取得していないという。かつ、職業的な資格を得ているのはわずか1割だ。ハーバード大学の研究者たちは、こういった数字を今後の職業の展望と合わせて考えた結果、大学進学意向のない学生向けに対してより適切な選択肢を与えるべく教育を根本的に見直すべきだと主張する。
自身の研究結果が論文の中で引用されている、労働市場の専門家であるAnthony p. Carnevale氏曰く、「教育に関して大統領に提案することがあるとすれば、このような職業訓練を行うことだ。1983年の『危機に立つ国家』以来、我々は子どもたちを大学に送ることに夢中になりすぎた。いいことだが、全てではない」。しかし彼もまた、進路の幅を広げることによって一部の学生の可能性を狭めてしまうことを危惧している。
ハーバード大学も当然このような懸念が持ち上がることは予想していた。彼らの反論としては、「ここで提案しているシステムにおいて、子どもたちが早い段階でキャリアを決めつけられることはない」というものだ。だが同時に、「難関の4年生大学に向けた選択科目の要件は、それほどアカデミックでないキャリアを目指す子どもたちには課されない」とも述べている。
ワシントンに拠点を置く”Achieve”の代表であるMichael Cohen氏は、「”College For All”という表現が混乱を呼んでいる面もある」という。「誰も、全ての子どもを4年生大学や2年生大学に入れようと言っているわけではない。これはあくまで比喩だ。大統領以下みなが主張しているのは、『高校卒業後に何らか形で訓練が受けられるように』ということだ」。
いくつかの州や地域はかなり厳密なキャリア教育や技術指導に向けて動き始めた。論文でも、カリフォルニアのLinked Learning initiative(仕事を通じた訓練とカウンセリングのコンビネーション)や、マサチューセッツの職業-技術学校の地域ネットワークについて言及している。
(記事原文)
2003年に出版されたEducation for Happinessという刺激的なタイトルを背負った本の中で、教育哲学者Nel
返信削除Noddingsが発した一つの根源的な問いを思い出しました。
「もし本当に全員が大学に行くようになったら、はたして誰が社会の底辺の仕事を支えるのだろう?」
真に求められているのは、社会における「成功」の再定義であるように思います。
p.s. 日本でもまた「キャリア教育」がホットな話題になってきているようですね。